アコースティック楽器の生演奏の響き、これ以上の究極的な音源はありません [音読]

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あらためて、当たり前のことですが、スピーカーやヘッドホンで聴いている音はなぜライブ演奏の迫力に欠けるのでしょうか。妥協して聴いていますか。

機器のダイナミックレンジの問題もあるが、根本的なこととして、疑似音響空間としての、いわゆるステレオフォニック方式であり、ライブ演奏音の音響空間は原理的に再現されません。サラウンド方式もステレオの一種であり、サラウンド効果としての疑似音響です。従ってライブ会場での臨場感や空気感とは違った音響になります。ちなみに、ステレオやサラウンドの基本特許は、今から90年に出て来た技術です。機器を小型化でき、それっぽく聞こえる技術なので今でも使われ続けられています。

音量を上げたり、低音を強調しても再現されません。MIDI データを使ってMIDI音源で演奏を楽しむ場合や、メモリやCDの音源を再生する場合、現在の音響技術では、スピーカーやヘッドホンによる発音となります。ライブ演奏の音響空間の音は、実際はヘッドホンやスピーカーなどでは根本的に再現されません。原音再現として、どれだけ原音に近づけられるかの技術的課題にあるので、明らかに未解決の問題だと言えます。

音源が例えば定点のマイクで収録された時点で、音響空間は制限されていること、あるいは、スピーカならそれが左右の決まった位置に固定されているので、音響空間は疑似音響になります。収録時のマイクセッティングが再生に大きく影響もします。現実の音響空間の音を再現することは不可能です。合奏で、複数楽器が奏でる状況は、三次元の異なる位置での発音とりますが、それぞれの発音された楽器の響きは、上下左右前後の壁などに複雑に反響して色々な座席位置で聴いている人に届いている。楽器間の直接的、間接的な共鳴音や共振音も響いている。聴いている人の座席位置で音響は全て違う。ハイレゾ音源というのがありますが、根本的にライブ演奏の音響空間を再現するものではありません。疑似音響の音質は良くはなりますが、ライブ演奏の音響空間とは違います。スピーカーやイヤホンの音響特性やダイナミックレンジの性能も左右します。

結果、再生音は、ライブ演奏とは全く違うもになっています。ステレオ方式によるスピーカーやイヤホン再生は機器を小型化するので便利です。便利ですが、音響は本物ではありません。究極的なブレークスルーは本物の楽器を演奏することです。MUSICROBOTの技術では、MIDI データを使ってロボットが本物の打楽器を生演奏します。これ以上の究極的な音源はないと思います。あらためて、本物の楽器、アコースティックな楽器のロボット演奏の可能性を見極めていきたいと思います。

ところで、いまでも忘れなれない演奏曲に、昨年、福井大学附属特別支援学校で演奏したBELIEVEがあります。打楽器演奏ロボットIROPS-3号機による演奏で、11種類の打楽器を制御しているのですが、それぞれの打楽器の一打一打、一音一音がすべて微妙に変化しています。3号機のために、すずの含有量を増やして製作して頂いた小出シンバルの繊細な響き、MIDIによる通常の電子音源ではこうした臨場感あるサウンドは非常に難しいです。人の歌声と独特なハーモニーとなっています。YouTubeの動画を聴いてみてください。

MUSICROBOTについて
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