2025年度 卒業研究テーマ紹介
福井大学・庄司研究室(先端マテリアル創造ものづくり研究室)では、
「誰もが楽しめる音楽体験の実現」 をキーワードに、MIDI・可視化技術・インタラクティブ設計を活用した演奏支援システムの研究開発に取り組んでいます。
2025年度は、音楽理解・リズム創造・学習支援・可視化表現に着目した4件の卒業研究が進められました。
(※詳細な技術仕様については研究上の理由により非公開としています)
■ 楽曲進行に同期したリアルタイムなコード情報の提示を実現する演奏支援システムの開発
汎用のMIDIデータに簡便にコード情報を付与し、XFフォーマット[※]に準拠したMIDIデータへ変換するシステムを開発した。MidRadio Player[※]を用いることで、楽曲のコード進行をリアルタイムに表示でき、ギター演奏の練習支援に活用できる。既存のMIDI資産を有効活用しながら和声理解を促進し、伴奏やアドリブ演奏の学習効率向上が期待される演奏支援システムおよび実践的な学習環境の構築を進めた。
[※]ヤマハ株式会社による規格・ソフトウェア
■ 回転型時間表現によるリズム構造の可視化からリズムを創造的に探求できる演奏支援システムの開発
時間を円環状に配置する「回転型時間表現」を用いてリズム構造を可視化し、拍や周期性を直感的に理解できる演奏支援システムを開発した。視覚的フィードバックによりリズムの重なりやズレを体感的に把握でき、既存のリズムパターンの理解だけでなく、創造的なリズム生成にも挑戦できる新しい音楽学習インタフェースを提案している。音楽 x プログラミング教育(STEAM)も考慮して、Scratchで実現しているのも特徴である。
■ 日本の五音音階の特徴を活かした簡単な操作で演奏学習と成功体験を育む演奏支援システムの開発
日本の伝統的な五音音階に着目し、どの音を選んでも調和が保たれる仕組みを活用した演奏支援システムを開発した。指一本などにより、少ない操作でも自然な旋律が生まれるため、初心者や音楽経験の少ない利用者でも合奏の練習が1人でできる。成功体験を育めるように、正しく演奏されるまでシステムは待機し、一緒に合奏体験ができる。個の特性に合わせたインターフェースを使って、楽しみながら音楽表現力を育むことを目指した研究である。Scratchを活用した実装から、音楽 × プログラミング教育(STEAM)も視野に入れ、音楽とプログラミングを融合した学習環境を実現している。
■ 楽曲の音楽的要素をリアルタイムに可視化し演奏の音楽的構造の理解に役立つ演奏支援システムの開発
音量・リズム・発音タイミングなどの音楽的要素をリアルタイムに解析し、演奏の構造を視覚情報として提示する演奏支援システムを開発した。打楽器演奏ロボットによるアンサンブルにおいて、各打楽器の演奏情報に対応したキャラクターの動きから、楽曲全体のリズムを視覚的に把握できる。聴覚だけでなく、視覚からも演奏情報を知覚できるため、新しい音楽理解と演奏支援の形を提案している。
おわりに
本研究室では、音楽とものづくり技術を融合させることで、専門家だけでなく誰もが主体的に参加できる音楽体験の創出を目指しています。
今後も演奏支援システムや打楽器演奏ロボットなどの研究を通して、音楽とテクノロジーの新しい可能性を広げていきます。

