平均律ピアノと純正律ピアノの響きについて
とある研究を今進めているのですが、そうした中、平均律ピアノと純正律ピアノによる響きの違いを探究しておりましたら、カノンを演奏している、CANACANA氏、さとうみつろう氏の演奏を見つけました。それぞれの響きにはとても個性があります。
平均律ピアノ
純正律ピアノ
参考までに、以前制作した音律に関する動画を紹介します:
このカノンは、様々な編曲が世界中で、また、YouTubeでも演奏されています。でも、パッヘルベルのイメージに近い演奏はいったいどんな感じなのでしょうか。折角なので、少しまとめましたので紹介します。カノンについてご存知の方は以下スルーしてください。
この曲を作曲したヨハン・パッヘルベル (Johann Pachelbel, 1653年-1706年)はバロック時代の作曲家でオルガン奏者でした。この時代にはチェンバロという楽器は既に発明されていましたが、ピアノはまだ発明されていません。パッヘルベルが上の動画のピアノの響きを聴いたらどう思うか興味深いです。この楽曲の正式名は『3つのヴァイオリンと通奏低音のためのカノンとジーグ ニ長調』(原題: Canon a 3 Violinis con Basso c. / Gigue)(Wikipediaより引用) と言います。
旋律や伴奏には当時一般的なオルガンやヴァイオリンが使われましたが、これらの楽器は持続音が出せる楽器です。通奏低音のパートはチェロやオルガンなどで低音を演奏します。減衰音にはなりますが当時発明されていたチェンバロでの演奏もあったと思います。この通奏低音は数名の奏者で単音楽器を演奏すれば『和音』も可能で、この和音演奏では腕の見せ所として即興演奏が許されています。3つのヴァイオリンは、第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、第3ヴァイオリンですが、次々にカノン様式で演奏されます。かえるのうたの輪唱がありますが、あの輪唱(同じパターン)をもっと自由度を増したのがカノンです。ヴァイオリンが次々にあとを追うように演奏されていき、次第に華やかに盛り上がっていき、静かに終わっていきます。安らぎと幸せを感じる楽曲ですね。本来のパッヘルベルのカノンに近いイメージの動画を見つけましたので紹介します。この楽曲がいつ作曲されたかは、幾つかの説があって定かでは無いようですが1680~1700年頃とすれば、凡そ300年前の楽曲になります。当時の実際の響きは誰も知ることは出来ませんが、300年の時間を超えてそれを考えることはとても興味深いものです。
(初稿:2023.2.25, 庄司英一)