市民公開講座型ワークショップ「リズムの輪を広げよう ~ロボットと遊ぶ音楽会~」開催報告

📢 「リズムの輪を広げよう ~ロボットと遊ぶ音楽会~」開催報告

このたび開催いたしました市民公開講座型ワークショップ
「リズムの輪を広げよう ~ロボットと遊ぶ音楽会~」におきましては、
多くの皆様にご来場いただき、盛会のうちに無事終了いたしましたことをご報告申し上げます。

ご参加くださいました皆様に、心より深く御礼申し上げます。

📚 開催趣旨と背景

本講座は、医療・福祉・工学の学際領域を対象とする学会の市民公開講座として、
障がいの有無を越えた「参加と共創の音楽体験」を社会にひらくことを目的に開催されたものです。

このような生体医工学という医療関係者と工学研究者を交えた学会において、
無料で一般市民に開かれた公開講座型のワークショップを開催することは、
きわめて画期的であり、過去にもあまり前例のない試みであったのではないかと感じております。

🎶 当日の様子と反響

当日は、地域の皆様をはじめ、福祉・教育・医療関係の皆様にも多数ご参集いただき、
打楽器演奏ロボットを活用した体験型プログラムを通じて、
音楽を介した新たな交流と気づきが生まれる意義深い時間となりました。

また、福井新聞および日刊県民福井の取材も受け、
本研究の理念と社会的意義について、広く報道を通じてご紹介いただく機会となりました。

  • 📰 福井新聞(2025年6月6日付・3面)
    「医工学の研究者集い発表 音楽と障害者ケア探る」
  • 📰 日刊県民福井(2025年6月6日付・2面)
    「障害者ロボと楽しく演奏 開発の准教授ら効力紹介」

🧠 研究の継続と目指す社会

本講座にてご紹介した打楽器演奏ロボットおよび演奏支援技術(図1)は、
私が福井大学に着任して以来、一貫して探究・開発を続けてきた、福井発の先進的かつ独創的な技術の一つです。

現在は、教育・福祉・地域連携における社会実装を目指し、現場とともに歩む形で実践的な展開を進めております。


図1 様々なユーザーに対応できる演奏支援技術(一例)

🌈 私たちの願いと今後の展望

私たちが目指しているのは、
打楽器演奏ロボットと、個々の身体的特性に応じた演奏支援装置とを組み合わせることで、
これまで演奏をあきらめていた方々に、「できない」から「できるかも」へと心をひらく契機を創出し、
初めて音楽に関われる、あるいは再び音楽に関われる環境を築いていくことです。

こうした技術を一日も早く社会に届けるべく、
今後も地域とともに、研究と実践の両面から取り組んでまいります。

Our goal is to create opportunities for individuals who have given up on playing music to open their hearts from “I can’t” to “Maybe I can,”
by combining percussion-playing robots with assistive devices tailored to each person’s physical abilities.
We aim to build an environment where people can engage with music for the first time,
or reengage with it after unforeseen accidents or life events.

To deliver these technologies to society as soon as possible,
we will continue to work together with the local community through both research and practical implementation.

📝 アンケートから見えた成果

講座終了後に実施したアンケートによるフロア討論では、参加者の皆様より多くのご意見・ご感想を頂戴しました。
たとえば、

  • リハビリテーションや認知症予防への応用
  • 音楽を通じた意思表示の可能性
  • 誰もが対等に参加できることの価値
  • こどものQOL向上

中でも印象的だったのは、
「演奏に挑戦するハードルが下がり、自己表現のきっかけとなる」
「音楽を通じて生きがいや社会的つながりを取り戻す力を感じた」
などといった数多くの実感のこもったご意見でした。

🎵 「にじ」の合唱と未来への一歩

本講座のオープニングとクロージング再演では、「にじ」の演奏を行いました。

この一曲が、障がいの有無を問わず、音楽を通じて心をつなぎ合う
バリアフリーミュージックの象徴として、
参加と共創の理念を体現する橋架けの瞬間となったことを、深く印象に残しております。

📡 今後の共有について

また、当日ご参加が叶わなかった皆様や、遠方より関心をお寄せくださった皆様にも、
この講座の趣旨と成果を少しでもお届けできればと願っております。

今後、講座の記録や内容の一部を公開・共有する機会も検討してまいりますので、
引き続きご注目いただけましたら幸いです。

🙏 最後に

今後も、すべての人が音楽を楽しみ、つながることのできる社会の実現を目指し、
地に足のついた研究と実践を誠実に重ねてまいります。

改めまして、ご参加・ご支援いただいた皆様、
また本講座の開催にご尽力いただいたすべての関係者の皆様に、
心より深く御礼申し上げます。

庄司英一
福井大学学術研究院工学系部門 知能システム工学講座

📌 開催概要

打楽器演奏ロボットと育むQOLを高める新たな音楽体験のワークショップ
『リズムの輪を広げよう ~ロボットと一緒に遊ぶ音楽会~』
バリアフリーな音楽体験の可能性を探る

助成:公益財団法人かけはし芸術文化振興財団
主催:公益社団法人日本生体医工学会
企画・運営:福井大学 先端マテリアル創造ものづくり研究室
後援:福井県、福井県教育委員会、福井市教育委員会

ワークショップでは、打楽器演奏ロボットをリハビリテーションや音楽療法の現場に応用する可能性について探ります。院内学級や重症心身障がい児者福祉サービス事業所、特別支援学校、小学校での 訪問演奏会や教職員セミナーなどでの実践から生まれた、世代や障がいの壁を越えた「リズムでつながる音楽体験」を提供します。参加者は打楽器演奏ロボットとの合奏を体験し、音楽がQOL(生活の質)の向上にどのように貢献できるかを体感します。さらに、個々の特性に応じた演奏支援装置や、スマートテキスタイルによるウエアラブル演奏支援ウェアなどを紹介しながら、ロボットと人が音楽で共生できる未来社会の可能性を探究します。

このワークショップで探究できること
・人とロボットが共に奏でる、誰もが楽しめる音楽体験のかたち
・音楽療法的アプローチを取り入れた、新たな音楽教育のあり方
・音楽療法・リハビリ分野における新たな活用法とその可能性
・合奏を通じた、障がいや世代を超えたQOLの向上の実践
・医療従事者・音楽療法士・工学技術者とのネットワーク構築
・医療・福祉現場における音楽支援技術の未来と社会実装

📰 メディア掲載

福井新聞(2025年6月6日付・3面)「医工学の研究者集い発表 音楽と障害者ケア探る」

株式会社福井新聞社の許可を得て新聞記事を公開しています。

日刊県民福井(2025年6月6日付・2面)「障害者ロボと楽しく演奏 開発の准教授ら効力紹介」

株式会社日刊県民福井の許可を得て新聞記事を公開しています。

チラシ
2025_生体医工学_かけはし_23.pdf

#バリアフリーミュージック #打楽器演奏ロボット #ユニバーサル音楽 #市民公開講座 #QOL支援 #共創 #演奏家支援 #演奏支援装置 #福井大学

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