【ご報告】内閣府防災への訪問 ~能登半島地震の教訓からあらためて見つめ直す、ラジオ放送波の重要性~

このたび、内閣府防災を訪問(2025.3.18)し、防災に関する意見交換の貴重な機会をいただきました。

詳細は控えさせていただきますが、主な話題は「災害時において、ラジオ放送波がいかに人々の命を支える情報手段となるか」という点を中心としたものでした。令和6年能登半島地震の現地調査や研究から得られた知見を紹介するとともに、国土強靱化計画に沿って社会に貢献できる技術についても共有しました。さらに、それらを踏まえて、今後想定される南海トラフ地震への備えについても言及することができました。

科学者の立場からラジオの存在意義を捉え直すとき、それは災害時の情報伝達における“最後の砦”であり、次なる巨大災害に備える上で欠かすことのできない“基盤技術”であると強く認識しています。能登半島地震では、多くの地域で通信インフラが長期間にわたって機能を停止し、スマートフォンやインターネットが使えない状態が続きました。そのような状況下で、地上波によるAM/FMラジオ放送は、電池一つ、あるいは無電源でも情報を届け続ける手段として、改めて注目されました。

高度なデジタル通信が発達した現代においても、それらが機能しなくなったときにこそ、真に“使える技術”とは何かが問われます。100年の歴史を持つラジオ放送は、今なお、非常時において確実に届く情報インフラとしての価値を保ち続けているのです。

科学には「革新性」と同時に、「現場で役立つ堅実さ」も求められます。研究室の中だけでは見えてこない被災地の実情や現場の声に耳を傾けながら、これからも防災技術のあり方を問い続けていきたいと考えています。今後も、現場での実証、技術開発、そして社会実装を通じて、科学の力を「社会を支える力」へと結びつける取り組みを続けてまいります。


※本記事は、内閣府防災への訪問という事実および、科学者としての個人的見解を記したものであり、行政機関の見解を代弁するものではありません。