マイクロポンプ一体型カード:ラボオンチップに革新をもたらす技術

次世代のマイクロ流体デバイスを支える革新的なマイクロポンプ

 当研究室が独自開発したマイクロポンプ一体型カードは、ラボオンチップ(Lab on a chip)やµTAS(Micro Total Analysis Systems)、マイクロアレイ(バイオチップ)など、マイクロ流体制御に最適なソリューションを提供します。世界のバイオチップの市場規模は、2029年には317億ドル(約4.7兆円)を超えると予想されています(出典:Mordor Intelligence, Biochip Product Market Report, 2024)。

特長とメリット

・超薄型設計:厚さわずか数ミリのカードサイズ内に埋込可能(逆止弁構造込みの厚さ)

・無振動・無音駆動:精密な流体制御を可能にし、ノイズの影響を最小限に抑制

・低電圧駆動(数ボルト以下):水溶液系での安全性、制御回路も弱電小型化可能

・使い捨て可能:ポンプ部が低コストなため、ポンプごと廃棄

・独自技術:高分子アクチュエータの特徴

高分子アクチュエータシートをワンステップで打ち抜いてダイヤフラムにします(特許技術※1、原著論文)。シンプルな構造により、コンパクトながらマイクロポンプが実現できます。プラットフォームは光造形3Dプリンタで造形し、マイクロポンプ一体型カードとして製作できます。

※1 高分子アクチュエーターの制御方法、高分子アクチュエーター及びこの高分子アクチュエーターを利用した微少流体送出装置、 特許6586686号

※2 Eiichi Shoji, Fabrication of a diaphragm micropump system utilizing the ionomer-based polymer actuator, Sensors and Actuators B: Chemical, 2016, 237, 660-665.
https://doi.org/10.1016/j.snb.2016.06.153

応用分野

本技術は、溶液の輸送による以下のような分野での応用が期待されます。

・バイオ・医療分野:血液分析、DNA/RNA解析、薬剤送達

・環境計測:水質検査、化学物質検出

・化学・マイクロリアクター:微量試薬の混合・反応

・ウェアラブルデバイス:体液分析、センサーデバイス

・教材や玩具など:マイクロポンプを活用した教材

ラボオンチップの未来を切り拓く送液技術

本技術を活用することで、マイクロ流体システムのポンプを内蔵できること、必要によりポンプごと廃棄できるコスト性、ダイヤフラムサイズや造形の多様性、より手軽な流体制御を実現します。

ガラスや樹脂プレート内に本マイクロポンプを組み込んで、カード一体型のマイクロ流路デバイスを創造することが可能です。

企業・研究機関の皆様へ

本技術のさらなる応用開発など、共同研究についてはお問い合わせください。

#µTAS #MicroTotalAnalysisSystems #ラボオンチップ #LabOnAChip #マイクロポンプ #バイオチップ #医療機器 #次世代技術 #イムノアッセイ