高分子アクチュエータを制御するために『実際的に使える』小型軽量な専用電源装置の開発と試作品

高分子アクチュエータは、スムーズな湾曲変形運動が無音、無振動で実現できるアクチュエータとして、従来の電気モータやハードアクチュエータでは不可能な動きを実現できる。

著者のこれまでの研究成果として、材料創製、制御、評価計測、および試作応用の観点から高分子アクチュエータの開発を総合的に進めてきている。成果の1つとして、高分子アクチュエータの形状と湾曲運動性の整理から、高分子アクチュエータの制御に関わる特許技術や原著論文を報告している[1,2]。高分子アクチュエータの動きの特徴を活かした応用技術として、マイクロポンプ技術として小型薄型軽量性、低電圧安全性、無振動性、低コスト性などの観点から、化学分析や病理診断で注目されているラボオンチップテクノロジーの送液に関する要素技術として提案している。高分子アクチュエータは低電圧動作、無音性、無振動性の特徴を有しており、従来の電気モータや高電圧駆動のピエゾ素子系アクチュエータを使った動きの原理の様々な問題点を解決できる技術になっている。

本試作品は、高分子化学の材料創製と制御計測技術の知識と実験経験に精通している著者自らが、これまでのノウハウを活かして電子回路設計とファームウエアの開発から、すべてを組み上げて創造している。マイクロポンプ用の駆動電源としては勿論、高分子アクチュエータの研究において、現場やアプリケーションで実際的に使える保護回路内蔵の高出力な小型軽量な汎用電源として、用途に応じた複数のプロトタイプを探究している。

本開発は、公益財団法人テルモ生命科学振興財団(TERUMO LIFE SCIENCE FOUNDATION)様の研究開発助成のご支援を賜っております。

引用文献と補足事項
[1] 庄司英一、アクチュエータ駆動システムおよびアクチュエータの制御方法、登録特許5252616号、特許2007-161606 出願日 平成19年6月19日(2007.6.19)

[2] E. Shoji, Y. Komoda, Pulse Width Modulation (PWM) Control of the Bending Displacement and Force Generation of Ionomer-based Polymer Actuators, Polymers for Advanced Technologies, 2013, 24, 752-757.

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